スポーツでは10連勝、20連勝といった長期にわたる連勝がたまにあります。連勝を重ねていくには多少の運も味方するでしょうが、勝つごとに「負け」への危機感が強まっていくと聞きます。トップレベルにあるチームほど、あらゆる状況を想定して努力や工夫を重ねていく姿勢が強いように思います。連勝の勢いに任せてその辺りの仕事をサボってしまうと、大きな反動に見舞われ、連勝以上に大きな代償を支払うことがあるかもしれません。

勉強は勝ち負けを論じるものではないですが、模試や定期考査で前回以上に良い順位を収めることは、勉強における「勝ち」に値するものかもしれません。

普段からの準備を怠り、場当たり的な勝利にこだわって無理をすると、スポーツ同様にその反動は後からやってきます。特に、受験ということで長期間にわたって無理に無理を重ねていると、その影響や反動は次のステージに上がってから必ずやってきます。酷いものになると、勉強意欲を一気に失い、勉強から心が離れる時期を過ごすことにもなるでしょう。それでも授業は着実に進みますし、定期考査や模試も予定通り実施されます。何もしないでいると評価も順位も確実に下がるでしょう。勉強も順位や成果にこだわって取り組むことはスポーツ同様、大変に厳しいものだといえます。

トップを目指す間は、見上げればはっきりとした目標があるので、迷いやプレッシャーに打ちのめされることはありません。一方で、すでにトップに立っている人はもう見上げなくてもよいのですが、今度はトップに立つまでに味わったことのないプレッシャーに悩まされます。トップに長くいればいるほど、そのプレッシャーはますます強く激しくなります。圧倒的な強さを誇る絶対王者の心境は「頂上の周り360度は全て崖」と言われるほどです。勝利への強烈なプレッシャーは本人にしか理解されず、それ故に「心の持ちよう」が大切になってきます。

トップから見下ろす景色、
トップが見える景色、
トップが霞んでいる景色、
トップを諦め、その場に腰掛けて見る景色。

それぞれが見る景色は全く異なるものでしょうし、それをどのように見るかといった「心のとらえ方」もまた人それぞれ異なるでしょう。たとえ同じ景色であっても見る人によって全く違う色に映ることもあるでしょう。立場は違えど、それぞれが悩み苦しみながら日々を過ごしているのが実際のところだと思います。

受験を目指す子どもたちは人生経験が浅く、プレッシャーを跳ねのける術も大して持ち合わせていません。指導する・見守る側は「その子の現在の立ち位置」を正確に把握し、どういった学習をさせるのが最も効果的かを絶えず考えていかなくてはいけません。そして、改善を繰り返しながらそれぞれが一致団結して前進することが望まれます。